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遺言における配偶者居住権の考慮

更新日:2022年5月5日

民法改正によって、配偶者が、住み慣れた住居に無償で住み続けることができる制度が設けられました。(「配偶者居住権」といいます)


これは、残された配偶者が被相続人の所有する建物(夫婦の共有名義の建物でもかまいません)に居住していた場合で、一定の要件※1を充たすときに、被相続人が亡くなった後も、配偶者が賃料の負担なくその建物に住み続けることができる権利です。


配偶者居住権は、第三者に譲渡したり、所有者に無断で建物を賃貸したりすることはできません。

しかし、建物の所有権を取得するよりも低い価額で居住権を確保することができるので、遺言や遺産分割の際の選択肢の一つとして、配偶者居住権を遺贈することによって、預貯金等のその他の遺産をより多く取得させることができるというメリットがあります。


配偶者居住権を配偶者へ残す方法としては、次の方法があります。

 ①相続人間の話合い(遺産分割協議)

 ②遺言で遺贈する

 ③家庭裁判所の審判


また、婚姻期間が20年以上の夫婦である場合は、この配偶者居住権は相続財産とは見做されず、他の遺産の取り分が減らされる恐れもありません。



※1 取得要件

・建物が、被相続人の財産に属していたものであること

・残された配偶者が相続開始時にその建物に居住していたこと

・配偶者の居住が無償であったこと


▶︎配偶者居住権の財産的価値はどれくらい?

・簡易的な評価の方法としては、次のような算出の仕方があります。(法制審議会民法(相続関係)部会において事務当局が示した考え方)


 建物敷地の現在価値ー負担付所有権の価値=配偶者居住権の価値


・また、国税庁にも評価方法が載っています。








▶︎相続における問題点

被相続人と配偶者の間に子がいた場合、土地建物は配偶者が相続、預貯金は子が相続というパターンが従来では取られていたことが多かったと思います。

この遺産分割の方法では、配偶者には土地建物の所有権は残り、住む場所は確保できますが、日々の生活費となる預貯金は配偶者に残らないので、生活の不安は残ります。


このようなことを回避するために、遺言を作成する場合には、配偶者居住権を検討すべきでしょう。

つまり、配偶者には住居に引き続き居住できるために配偶者居住権を遺贈し、土地建物の所有権は子に、そして預貯金は配偶者に相続させることとします。こうすることで、配偶者には住居と生活費が確保されることとなります。



▶︎その他配慮すべきこと

・遺留分

・登記実務(遺贈か相続か)


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