相続財産に多額の借金があった場合【相続放棄】
更新日:2022年7月13日
相続放棄とは
・被相続人に多額の債務(借金など)がある場合や、特定の相続人に遺産を相続させるような場合に、自分は相続しない意思表示をすることを、相続放棄といいます。
・相続人が複数いる場合でも、各人が単独で相続放棄できます。
相続放棄の効果
・相続放棄をすると、初めから相続人とはならなかったことになります。
・初めから相続人とはならなかったことになるので、代襲相続も発生しません。
・絶対的な効力がありますので、登記や通知等の対抗力を必要とせず、何人に対しても効果を生じます。
・相続放棄は撤回することができません。(民法所定の事由がある場合は取り消し可能)
いつまでにすればいいのか
・相続放棄するか否か判断できる期間のことを熟慮期間といいます。
・熟慮期間は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内とされています。
・相続放棄をするべきか判断できない場合、期間の伸長を申立てることができます。
・期間の伸長の申立てを行うと、熟慮期間は3ヶ月から6ヶ月に伸長されます。
手続きの方法
・相続放棄する場合は、熟慮期間である3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てます。
・具体的には次のとおりとなります。
① 申述書を作成する
② 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てる
③ 家庭裁判所から申述者に対して、照会が行われるので、回答する
④ 問題がなければ申述が受理され、「相続放棄申述受理通知書」が発行される
未成年者が相続放棄する場合
・未成年者が相続放棄する場合、法定代理人(父母などの親権者)が申述します。
・また、親権者がすでに亡くなっている場合などでは、未成年後見人が親権者に代わって相続放棄をすることになります。
・法定代理人が未成年者と共同相続人の関係にある場合、法定代理人による相続放棄の申述は、利益相反となり得ます。
・未成年者の相続放棄が利益相反となる場合には、特別代理人を選任して申述を行います。
留意事項
・被相続人の死亡後に相続人が相続財産の一部を売却していたような場合は、単純承認したものとみなされ、相続放棄はできなくなります。
事実上の相続放棄
・相続放棄は家庭裁判所に申述しなければなりませんが、相続放棄せずに、特定相続人が全ての遺産を取得し、他の相続人が取得分ゼロとする遺産分割協議が行われることがあります。
・これは事実上の相続放棄となりますが、被相続人に債務があった場合には、債権者に対抗できないことになります。
・事実上の相続放棄をする場合は、相続債務がないことをしっかり確認する必要があります。
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